摩擦と摩耗のメカニズム
深溝玉軸受 高速動作下では、複数の要因が相互作用する複雑なプロセスが発生します。以下は、その摩擦と摩耗のメカニズムの詳細な説明です。
摩擦機構:
すべり摩擦:軸受内部では、特に高速運転や荷重変化時に、玉と内輪・外輪との接触点で相対的な滑りが発生します。この滑り摩擦によりエネルギー損失が発生し、発熱が発生します。
転がり摩擦:ボールは主に転がり運動をしますが、実際の使用では製造公差や組立誤差、荷重の変化などにより、ボールと内輪・外輪の間に一定の滑り成分が存在し、摩擦が増加します。
潤滑条件:潤滑油の粘度や供給方法は摩擦に直接影響します。適切な粘度により金属間の直接接触が減少し、摩擦が減少します。潤滑が不十分または過剰になると、摩擦が増加する可能性があります。
摩耗メカニズム:
表面疲労: 高速動作下では、接触点が圧縮と伸長を繰り返し、材料疲労が発生します。長期間使用すると表面に亀裂や剥離が発生する場合があります。
付着摩耗: 高温と圧力により、接触点の金属がくっつき、相対運動で引き裂かれ、材料の損失が発生する可能性があります。
摩耗: ベアリング内部に存在する可能性のある微粒子 (不純物、金属片など) は、動作中に摩耗粒子として作用し、表面摩耗を引き起こします。
化学腐食: 潤滑油中の特定の成分が軸受材料と化学反応を起こし、腐食や摩耗を引き起こす可能性があります。
その他の影響要因:
温度: 高速動作によって発生する熱によりベアリングの温度が上昇し、それによって材料特性や潤滑条件が変化し、摩擦や摩耗に影響を与えます。
荷重: 荷重の大きさと分布は、ベアリングの摩擦と摩耗に大きな影響を与えます。重い負荷と高い負荷変化はどちらも摩耗を増加させます。
材料: 軸受材料の硬度、靱性、耐疲労性などは、その摩擦と摩耗挙動に直接影響します。
要約すると、高速運転下での深溝玉軸受の摩擦と摩耗のメカニズムは、多要素で複雑なプロセスです。軸受の性能を最適化し、寿命を延ばすには、軸受の設計、材料の選択、潤滑条件、使用環境などを総合的に考慮する必要があります。
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